省エネを実現すると同時に太陽光発電などでエネルギーを創り、消費電力のゼロ化を目指す建築物のことを「ZEB」と呼びます。経済産業省もZEB化を推進しており、検討するビルオーナーも少なくありません。今回は、ZEB化を行うことによって得られる主な3つのメリットについて解説します。
ZEB化とは?
ZEBとは「ゼブ」と読み、「Net Zero Energy Building」のことを指します。「省エネ」と「創エネ」の両方に同時に取り組むことで、実質的にそのビルにおける消費エネルギー正味ゼロを目指す建築物のことです。2016年度のデータによれば、事務所ビルや商業施設などの建物におけるエネルギー消費量は日本全体の約16%を占めており、ビルのZEB化はエネルギー需給の安定化や地球温暖化対策に寄与するものだとされています。
そのため、政府もビルのZEB化に対してはこれまでに補助金制度や税制優遇制度を設け、民間企業や地方自治体を積極的に支援しています。
ZEB化の主な3つのメリット
環境省はビルのZEB化のメリットとして、「光熱費の削減」「不動産価値の向上」「事業継続性の向上」などを挙げています。ここでは、3つのメリットに絞って見ていきましょう。
・光熱費の削減
・不動産価値の向上
・事業継続性の向上
・光熱費の削減
ZEB化における省エネは、昼光の利用や自然換気の仕組みなどをうまく活用することによって必要なエネルギーを減らしたり、人がいるエリアを集中的に冷却する高効率空調などを導入したりすることに取り組んでいます。省エネは、そのまま光熱費の削減につながることがメリットです。テナントビルとしてビルを運用している場合、省エネのメリットはビルを保有するオーナー側とテナント側で分け合うことになります。
・不動産価値の向上
ZEB化を進めることでビル自体のブランドイメージが高まることが期待できます。また、国土交通省が主導して開発された環境認証制度「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」や世界基準の建物環境性能評価指標である「LEED」などの認証を受けやすくなることも特徴です。ブランドイメージが高まることで、テナントの入居率の向上などに結びつくことも考えられます。
環境に配慮した街づくりに貢献することで知名度も高まっていくため、メディアの取材依頼などを受ける可能性もあるでしょう。
・事業継続性の向上
エネルギーを自ら創り出すシステムを導入することで、非常時においても入居企業の事業の継続性を確保することができます。そのため、ビルのZEB化は防災という面からも意味があるといえるでしょう。また、広域的な停電時などにおいてもビル内では電力が確保されていることで、地域住民の生活を支援することもできます。非常時にスマートフォンの充電場所を提供するだけでも、大きな貢献になるでしょう。
達成具合によって3段階
ZEBは、省エネと創エネの達成具合によって、「ZEB Ready」「Nearly ZEB」「ZEB」の3段階に分類されます。それぞれ次のような削減を実現している状態のことを指します。
・ZEB Ready
省エネで消費エネルギーを50%以下まで
・Nearly ZEB
省エネと創エネで消費エネルギーを25%以下まで
・ZEB
省エネと創エネで消費エネルギーを0%以下まで
特にビルの建設をすでに終えている場合は、実現可能な段階をターゲットに定めてZEB化を進めていくのが良いとされています。ZEB化に関して言えば、補助金制度や税政優遇制度などをしっかり知ったうえで、こうした制度をうまく活用しながらZEB化を進める計画の策定が初期段階で不可欠です。ZEB化に関して詳しい不動産業者などの専門家と二人三脚で取り組みを進めていくのがおすすめといえます。
保有するビルの価値を高めるためにも、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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