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ビルオーナーのための資産承継概略

親から子どもたちへビルオーナーがビルを承継する場合、株式会社(設立が古いケースですと有限会社など)としてビルを所有する形式をとっていることがあります。その場合、「自社株の移転をどうするか」について考える必要性が出てきます。さらに、会社の経営が順調な会社ほど自社株の価値が上昇するため、事業承継の難易度は上がっていきます。

(写真=Natee Meepian/Shutterstock.com)

事業承継は、親から子ども世代への「経営者の地位の移転」と会社所有の裏付けとなる「自社株の移転」の2つが必要となります。その後、「税務上の諸問題をクリアしていく」というステップを踏むのがおすすめです。自社株移転の税務問題は、譲渡所得税、相続税や贈与税が絡んできます。事業承継は、相続(民法)と納税(相続税・贈与税・譲渡所得税)をはっきり区別することが大切です。

自分が悩んでいるポイントが、「法律の問題なのか」「税法の問題なのか」については、なかなか区別するのは難しいかもしれません。そこで、今回はビルオーナーが考えるべき事業承継のポイントについて、シリーズで解説していきます。

スムーズな遺産分割

テナントで埋まっている状態が続き、ビル経営そのものが順調であれば経営そのものは心配の必要がありません。しかし、特にオーナー会社の場合は必然的に親世代から子ども世代への相続問題が発生します。「子ども世代にビル経営を任せたい」「株式をどのようにもたせるか」は、悩みの種の一つです。子ども世代が株式を持つことは、経営支配権が必要となり経営者の地位が移動することになります。

例えば、経営不振で自社株に全く価値がない場合、子ども世代に株式を移すことは特にコストもかからないため簡単です。しかし、儲かっている会社ほど株式移転に伴う税負担がかかってきます。また、前述したようにビル経営そのものはあまり儲かっていなくても、ビルが立っている場所が好立地の場合は、土地の含み益が出てくる可能性があるでしょう。

貸借対照表(B/S)に計上される土地の価格は、簿価で計上されるのが基本ですので土地を入手した時点の価格を計上しています。しかし、首都圏の駅前のような土地にビルを所有しているようなケースでは、土地の時価が数倍から数十倍に膨らむ可能性もあるかもしれません。その場合は、しっかりとした自社株対策が必要となります。

このように、必ずしも「儲かっていないから事業承継に伴う対策を取る必要がない」というのは大きな間違いなのです。

ビルオーナーの自社株対策!事業承継の流れ

同族会社かどうかの判断は、法人税申告書の別表2を見れば一目瞭然です。なぜなら、ここで同族会社判定をするからです。基本的にビルオーナーは、自社株を親族で所有しているケースが大部分ですから、今後の内容は同族会社を前提にしていきます。同族会社の事業承継は、最終的に事業を継ぐ子ども世代に会社経営と会社の支配権(自社株)をスムーズに渡すことです。そのステップは、次の4段階となります。

・自社株の相続における問題点の把握、民法・会社法といった法律上の問題点がないか
・自社株の評価をいかに引き下げるか(節税対策)
・自社株の移転
・納税資金の確保

上記の順番で進めていきましょう。また、もし従業員がいるような場合では、オーナーが変わることに対しての従業員の不安要素をできるだけ払拭しておくことも大切な事業承継の作業となります。

ビル経営の影響を考慮して自社株の相続対策を検討しよう

ビルオーナーが自社株対策を進めていくうえでは、会社経営に与える影響を考慮しながら進めることが必要です。例えば、親世代から子ども世代に実際にバトンタッチするタイミングは、ビル経営が順調にいっているときが良いでしょう。また、従業員がいる場合はどのような影響があるのかを考えるなど、総合的な視点が必要になります。

つまり、節税だけがうまくいったから成功ということではありません。ビル運営全体に重大な影響を与えては本末転倒です。自社が抱える全体の問題や影響を一度客観的に考察したうえで、事業承継をすすめていくことが重要になります。