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次のビルオーナーは誰だ?決めないまま相続が発生すると……

ビルオーナーがかかえる悩みの一つで「誰にビルを引き継がせるか」という問題があります。生前に経営や管理などについて承継ができれば問題ありません。しかし、何も対策しないまま相続が発生してしまうと、遺された家族にさまざまな問題が生じる可能性があります。今回は、後継者が決まらないうちにビルの相続が発生した場合のデメリットなどについて解説します。

(写真=Song_about_summer/Shutterstock.com)

このような場合は要注意

・ビルなどの所有している不動産の数よりも相続人の数が多い
・ほかの財産よりも不動産の評価額が極端に高い
・収益性の高いビルと低いビルを所有している

上記のような場合には、相続人同士がもめてしまう可能性があります。相続で争いが起きるのは遺産分割でもめることがほとんどですので、まずは遺産分割にはどのような方法があるのかを押さえておきましょう。相続の際の遺産分割には次の3つの方法があります。

1.現物分割
自宅は長男、ビルは次男、現金・有価証券は三男など、誰がどの財産を相続するのかを決めて、現物のまま分割する方法です。このようにスムーズに分割ができればもめごとは起こりません。

2.代償分割
現物分割をした場合には、ビル等の評価額が高い財産を取得した相続人に対して、他の相続人が取得する財産の額が少なくなるケースがあります。法定相続人には相続財産のうち一定割合を取得する権利である「遺留分」があります(兄弟姉妹には遺留分はありません)。他の相続人がこの遺留分より少ない財産しか取得しなかった場合、財産を多く所得した相続人に対して足りない金額を請求することができます。

この場合、財産を多く取得した相続人は、自身の財産から「代償金」を支払うことになります。これを代償分割と言いますが、財産の評価額が大きくなる不動産の相続の場合には、この代償分割の対策にいても検討が必要な場合があります。

3.換価分割
換価分割は、不動産・有価証券などの財産を売却・現金化し、その現金を各相続人で分割する方法です。誰も住む予定のない自宅などを相続した場合に活用できます。ただし、ビルを換価分割で現金化してしまうと、その後の収益がなくなってしまいますので、ビルオーナーの相続人にとってはあまり選択したくない分割方法です。

できれば上記の現物分割・代償分割の方法で財産を相続するように、生前に遺言書の作成を行うなどの対策を立てておく必要があります。

税金面で不利になる場合も

このような分割方法のほかに、例えば不動産の持ち分を均等にして共有名義にする方法がありますが、これにはさまざまなデメリットも出てきます。例えば、3人の相続人が不動産を共有した場合、いずれその3人のうちのだれかが亡くなれば、その相続分が新しい相続人へ相続されることになるのです。相続人が増えてしまうと、さらに話し合いがまとまらないことも考えられます。

遺産分割がまとまらない場合、全ての財産が相続人全員の共有財産となります。相続人の話し合いがまとまらず遺産分割が終わらない(名義変更等が完了しない)うちは、相続財産の処分(売却等)は相続人全員の同意が無ければ行えません。また、法律上は遺産分割に期限はありませんが、相続税法では「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内」に相続税の申告・納税を行うことが必要です。

万が一、遺産分割がまとまらない場合には、法定相続分で相続したものとして計算をして申告・納税をすることになり、「配偶者控除」「小規模宅地等の特例」や農地・非上場株式を相続した場合の納税猶予制度など、税の優遇も受けられません。遺産分割がまとまった後にあらためて申告をすれば、払いすぎた税金は戻ってきますが、一時的に税負担が大きくなるケースもあります。

ほかの財産も含めて対策を立てる

ビル経営や管理などのノウハウを承継していくには多くの時間と労力がかかります。財産を引き継ぐ側も、相続後にいきなりオーナーとなっては優良な財産を有効に活用できない可能性も否めません。そのため、後継者を決めたうえで時間をかけて引き継いでいくことが大切です。あわせて、ビル以外の財産を含めた遺産分割の方法についても、生前にオーナーが主導および検討をして、できるだけ「スムーズな財産の承継」「もめない相続」を心がけることが賢明といえるでしょう。