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優良な不動産を遺すことが節税対策にもなる?

(写真=ktsdesign/Shutterstock.com)

不動産という資産を次世代に遺すためには、さまざまな相続対策や事業承継の計画を考えることが大切です。節税対策や納税資金対策、法人化をしている場合には自社株対策なども必要となります。そこで今回はビル経営の基本となる「優良な不動産を遺す」という観点から相続対策やメンテナンスについて解説します。

優良な不動産の条件は?

優良な不動産の条件にはさまざまありますが、ビルオーナーにとって外せない条件の一つとして「収益性」が挙げられるのではないでしょうか。収益性の高い不動産を遺すことで後継者の人は安定した収益を得ることができます。収益性が高くなかったり、空室が多かったりする不動産を引き継いだ場合、後継者は収益改善のための方策や空室対策などを行うことが必要です。

そのため経験や知識の浅い後継者の場合には、適切な対処ができない可能性もあります。このような観点から不動産の相続を考える場合、安定した収益を得るための対策・空室対策などは、不動産を遺す側が事前に行っておくことが賢明です。対策を行ったうえで引き継ぐことができれば、後継者は空室リスクなどに頭を悩ますことなくオーナー業に集中することができます。

空室がある場合の不動産の相続税評価額は?

空室があるテナントビルを相続した場合、不動産としての相続税評価額にも影響しかねません。そのため、ここではテナントビルの建物・土地の相続税評価額について解説します。

・建物:貸家として評価する
オーナーの土地に建っているオーナー所有のテナントビルは「貸家」として評価され、評価額は「固定資産税評価額-(固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)」で計算されます。例えば固定資産税評価額が1億円で借家権割合30%、賃貸割合100%だった場合の貸家の評価額は、1億円-(1億円×30%×100%)=7,000万円です。これが賃貸割合50%の場合には、1億円-(1億円×30%×50%)=8,500万円となります。

・土地:貸家建付地として評価する
オーナー所有のテナントビルが建っているオーナーの土地は「貸家建付地」として評価され、評価額は「自用地評価額-(自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算されます。「自用地」とは自宅などオーナー自身のために利用している土地のことです。テナントビルが建っている土地は自用地よりも相続税評価額が低くなります。

例えば自用地評価額が2億円で借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%だった場合の貸家建付地の評価額は、2億円-(2億円×60%×30%×100%)=1億6,400万円です。これが賃貸割合50%の場合には、2億円-(2億円×60%×30%×50%)=1億8,200万円となります。

このように空室がある場合の不動産の相続税評価額は、満室の場合と比較して評価額が大きくなり、その分後継者が負担する相続税額も大きくなってしまうのです。なお土地の場合には「貸付事業用宅地等」に該当すれば「小規模宅地等の特例」によって、200平方メートルまでの土地については評価額を50%減額することができます。

必要に応じてビルのメンテナンスを

空室がある場合の不動産は、相続時の評価額にも影響してくるため、後継者が負担する相続税の軽減の面からも、より優良な不動産を遺すことが大切となります。今後のキャッシュフローなどを確認したうえで、必要に応じてリノベーションや修繕、借り入れなどをあらかじめ実行すれば優良な不動産を遺すことが期待できるでしょう。

また相続後の収益の安定化はもちろんのこと次世代の相続税負担も少なくすることもできます。さらに贈与によって生前に不動産を次世代に移転し、その後の賃料収入も移転させることで相続税と合わせて所得税の対策を行うことも可能です。いずれにしてもリノベーションや修繕などは不動産の専門家、相続や贈与などは税の専門家のアドバイスを仰ぎながら対策を実行していくことが大切となります。