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小規模ビルの長期修繕計画、どうやって作成すればいい?

(写真=Piyapong Wongkam/Shutterstock.com)

ビルのオーナーの9割以上が「長期修繕計画作成」の必要性を認識しているのに、実際に作成しているのは約半数だそうです(ザイマックス総研『ビルオーナーの実態調査2018』)。改めて、長期修繕計画について考えてみましょう。

そもそも長期修繕計画とは何か?

長期修繕計画とは、建物や付帯する設備を、定期的かつ計画的に修繕していくことです。たとえば、分譲マンションでは区分所有者の集まりである管理組合が主体となって、長期修繕計画に基づいて修繕を実施していきます。ビルのオーナーは、自分で長期修繕計画を立てる必要があります。

ビルのメンテナンスには、耐用年数や状態から保全時期を決めて計画的に保全を行う「予防保全」と、トラブルが起こってから対処する「事後保全」がありますが、建物を長く使っていくには予防保全が有効です。長期修繕計画は、予防保全の中心となるものです。

鉄部塗装は3~5年に1回、外壁塗装は約8~12年に1回といったように、周期を決めて修繕を行います。その他、屋上防水や設備の更新なども含めて長期修繕計画を立てます。

メンテナンスしないとどうなるか?

人間も歳を取れば、あちこちに不具合が出てきます。中高年になっても健康診断や人間ドックを受診せず、健康を意識しないで過ごしていれば、メタボになったり、命にかかわるような重大な病気にかかったりすることもあります。

建物も同じです。適切なメンテナンスをしなければ、どんどん劣化していきます。特に屋上防水や外壁塗装など、日頃風雨にさらされる外部のメンテナンスを怠れば、それが漏水の原因になり、それが建物の寿命を縮めてしまいます。メンテナンスしなければ美観が損なわれるだけでなく、タイルなどの損壊・崩落の危険性も高まります。

テナントに安全な空間を提供するためにも、長期修繕計画を立てて、それを適切に実施していかなければならないのです。

どうやって修繕計画を立てるか?

「長期修繕計画の必要性はわかっているけど、実際には作成していない」というオーナーが多いのはなぜでしょうか。「どう作ればいいかわからない」ことが原因かもしれません。

そこで参考にしたいのは、国土交通省が出している「長期修繕計画ガイドライン」です。これはマンションを想定したものですが、小規模ビルに当てはまる部分も多いです。また、一般社団法人 日本ビルヂング協会連合会のホームページには、長期修繕計画を作るためのエクセルのテンプレートが掲載されています。

しかし、どれを参考にしたとしても、建物のプロではないオーナーが正しく理解し、抜け漏れのない長期修繕計画を作ることは難しいでしょう。管理会社や建築会社などの専門家に相談すれば、費用はかかりますが、安心して任せられます。

資金をどう確保するか?

長期修繕計画を立てるうえで、その資金計画も併せて検討する必要があります。長期修繕計画に沿って、修繕費を積み立てておくことは言うまでもありませんが、それだけでも資金が足らなくなることもあります。その場合は、借り入れによって賄わなければなりません。

借り入れをすれば、当然ながらローンの返済が収益を圧迫します。しかし、これを嫌って定期的な修繕を怠れば建物はどんどん劣化し、不具合が多発してテナントが退去していくという「負のスパイラル」に陥ります。長期修繕費用は必要経費であり、この資金繰りを考えておくことは、賃貸ビル経営全体の戦略を考えるうえで非常に重要です。

計画的修繕がビルの魅力アップにつながる

冒頭に紹介したザイマックス総研『ビルオーナーの実態調査2018』では、中長期の修繕計画を作成しているビルオーナーは作成していないオーナーに比べて、テナントの要望に応えるさまざまな施策を実施しており、今後の見通しについても「楽観している」割合が高いという結果が紹介されています。

修繕を実行することやテナントの期待に応える施策を実施することは、すなわちビルの魅力をアップさせること。やるべきことにきちんと取り組んでいれば、空室を恐れることなく、安定したビル経営を継続できるということなのでしょう。