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個人事業のビルオーナーは検討したい、「法人化」による節税策

(写真=Leika production/Shutterstock.com)

個人事業主として賃貸ビル経営を行っているオーナーは多いですが、所得税や相続税の節税を考える場合、法人化が有利になることをご存じでしょうか。法人化のメリットや、法人化する際のポイントを紹介します。

法人化のメリット

そもそも税率が低い

個人の所得税は累進課税方式であり、所得が上がるほど税率も上がっていきます。最高税率は約45%で、住民税を合わせれば約55%(個人事業税を合わせれば約60%)。儲けの半分以上を持っていかれる計算です。

一方、法人の実効税率(法人税、法人住民税、地方法人税等の合計)は約30%で、税率だけでも30%もの差があります。一定以上の所得があるなら、個人よりも法人で税金を納めたほうが得なのです。

幅広い節税法を使える

法人化すると、個人事業の時には使えなかった節税法を使うことができます。たとえば、法人の代表者である自分や、自分の家族に役員報酬や給与を支払うことで、それを経費にできます。自分や家族は所得が増えてしまいますが、役員報酬や給与には「給与所得控除」を使うことができるので、節税効果を期待できます。

同じ不動産からの所得も、法人と自分や自分の家族などに分散することで1人あたりの所得を抑え、税率を下げることができます。また、福利厚生費や旅費などを経費にできることも、個人事業にはないメリットです。

相続がしやすくなる

複数の不動産を所有している人が亡くなり、相続人が複数いる場合は、遺産分割でもめるケースがあります。不動産の所有者が法人なら、その社長が亡くなっても、相続では社長名義の株式を分ければいいので、簡単に済みます。

金融機関や取引先からの信用が高まる

一般的に、個人よりも法人のほうが信用があると言われています。また、法人のほうが融資枠が大きい傾向があります。将来は追加融資を受けて、さらに不動産事業を拡大していこうと考えているなら、個人よりも法人のほうが有利でしょう。

法人化のデメリット

さまざまな費用がかかる

法人化のデメリットとして考えられるのが、各種費用です。まず設立時の費用として、合同会社であっても10万円程度はかかります。また、赤字であっても毎年、法人住民税を納めなければなりません。

税務・会計処理が煩雑になる

税務・会計処理が面倒になることも、デメリットの一つでしょう。個人と法人では、税務・会計処理が異なる部分があります。個人の確定申告や青色申告に慣れている人でも、法人の決算・申告となると難しくてつまずいてしまうことも。また、法人の場合は社会保険料の計算も加わってきます。これらを税理士などに依頼すれば、その分費用がかかってしまいます。

交際費が全額損金にならない

個人事業主の場合は、交際費の上限はありません。事業に関連する交際費なら、全額経費にできます。しかし法人の場合、交際費については厳格なルールがあり、資本金1億円以下の場合、交際費は年間800万円までしか認められません。

不動産管理会社のタイプ

賃貸経営事業を法人で行う場合、大きく分けて「管理型」「サブリース型」「所有型」という運営方法があります。

管理型は、オーナーが所有する不動産の管理を管理会社に委託するものです。管理会社が個人オーナーに代わって不動産を管理し、賃料に応じた管理費を受け取ります。

サブリース型は、オーナーが所有する不動産を法人が一括で借り上げ、賃料から一定のリース料を差し引いた額をオーナーに支払う仕組みです。

所有型はその名の通り、不動産の購入・所有・運営管理もすべて管理会社が行う仕組みです。いずれのタイプにもメリット・デメリットがありますが、最もわかりやすいのは所有型でしょう。

メリットとデメリットを理解して判断を

法人化のメリットとデメリット、不動産管理会社のタイプについて簡単に説明しましたが、これはあくまでも概要に過ぎません。賃貸ビル経営の目的や目標、方針はケースによって異なり、それぞれにマッチする運営スタイルがあるはずです。

自分の目的や方針に沿った運営をしていくには、法人を設立したほうがいいのか、それとも個人のままがいいのか、よく考えた上で判断することが大切です。不動産会社や税理士などのパートナーにも相談してみることをおすすめします。